「利他」文理つなぐのりしろ 「生産性」以外で社会捉える
東京工業大学 未来の人類研究センター長 伊藤亜紗氏
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――なぜ、東工大が「利他」を研究するのですか。
「利他という言葉を聞くと他者のために何かをすることとしての『善行』を思い浮かべるでしょう。科学技術は人類の幸せのためという善意にもとづいて開発されています。でも、『他者のため』にと思うことが、結果的に相手をコントロールすることにつながったり、出会いの可能性をせばめたりすることもある。重要なのは、能動的な行為としての利他ではなく、他者の潜在的な可能性...