科学にどう向き合うか(上) 基礎軽視・技術偏重に危うさ
ジャンマルク・レビィルブロン ニース大学名誉教授
[有料会員限定]
われわれの身の回りには科学知識に基づく技術があふれている。しかしながら、人類史でこうした状態が生じたのはごく最近のことだ。過去に技術的、文化的に発展していた多くの文明でさえ、現在の意味での科学活動は存在しなかった。
西洋で最も説得力のある例は、ギリシャとローマの比較だろう。ピタゴラス、アルキメデス、ユークリッドなど、ギリシャの科学者ならすぐに名前を挙げられる。反対にローマ帝国には彼らと同等の業績...