世界を魅了 明治の焼き物(10) 森村組「色絵金点盛薔薇文水注」
美術史家 森谷美保
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色鮮やかな薔薇(ばら)を主文に、金彩と金点盛をふんだんに用いた華やかなデザイン。瀟洒(しょうしゃ)な取っ手の付いた優美な姿は、ヨーロッパ製品と見まがうほどだが、これは森村組による輸出陶磁器である。
明治中期以降、輸出陶磁器の製造販売で頭角を現した森村組は、シカゴ・コロンブス万博が開催された1893年、製品制作の方針を大胆に変更する。それは、陶磁器の絵付けを日本風から、西洋風へと変更することだった...