坂口安吾「白痴」 東京・大田区
その戦争の破壊の巨大な愛情が、すべてを裁いてくれるだろう。
[有料会員限定]
坂口安吾は1930年から20年ほど、主に東京都大田区東矢口2丁目、東急多摩川線・矢口渡(やぐちのわたし)駅近くで暮らした。
今は駐車場だが、〈無頼派〉の名を世に知らしめた作品の多くをこの家で執筆した。戦時中の自宅周辺を舞台にした本作もしかり、である。
45年4月15日。大田区を火の海にした「城南空襲」を山場に、隣家の知的障害者の人妻との奇妙な同居生活を機に、己の卑小さを見つめ直す〈主人公・伊沢=...
関連企業・業界
企業: