/

米給付金ラリーは肩すかし?

ワクチン接種急ピッチ、投資より消費に向かう

[有料会員限定]

日経電子版Pro会員の宮本 岳則さまから有料会員限定記事がギフトされました。日経電子版Proとは?

米個人投資家の動向に注目が集まっている。米国民の多くは新型コロナウイルスの経済対策で1人あたり最大1400ドル(約15万円)の給付金を手にした。市場では給付金が株式投資にまわり、相場を支えるとの期待は大きかった。ところが足元で売買高は減少傾向にある。マネーは向かった先は「消費」だった。

「閑散すぎて値幅が出ない」。3月31日午後、ウォール街のベテラントレーダーはこう嘆いていた。米国株式市場の売買高は年初来で最低水準に落ち込んだ。1~3月期末を迎え、例年であれば機関投資家のポジション調整が活発になる時期だ。今年も「株式売り・債券買い」の需給が見込まれていたが、売買は盛り上がりに欠ける。

米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントを巡る騒動は、閑散相場の要因として語られていた。投資家の間では、野村ホールディングスやクレディ・スイスに続く大手金融機関の損失計上懸念が浮上したり、ファンド清算に伴う新たな大型売りが出てきたりすることが警戒された。ただ、前出のトレーダーは「それだけでは説明できないほどの閑散ぶりだった」と話す。

市場で当初期待されていたのは、個人投資家の買いだ。ドイツ銀行がオンライン証券に口座を持つ個人にアンケート調査を実施したところ、今回受け取る給付金のうち、平均で37%を投資に回すとの結果が出た。同行のストラテジストは株式市場には1700億ドルもの資金流入との推計を公表した。

ところが「給付金ラリー」が肩透かしに終わるかもしれないとの予兆が浮かんでいる。

例えばオプション取引だ。スマホ証券「ロビンフッド」などで気軽に投資できるようになり、「コールオプション(買う権利)」の買い残高は個人の強気度合いを測るバロメーターとなっていた。調査会社サンダイヤル・キャピタル・リサーチによると小口のコール・オプションの買い残高は1月下旬をピークに、足元で減少傾向にある。

1月下旬に個人の「共闘買い」で話題になったゲームストップ株。株価は高値を維持しているものの、売買高は減少傾向だ。オンライン掲示板「レディット」の個人投資家コミュニティーでは依然、ゲームストップ株が最も注目を集めており、「給付金で買う」といったコメントもあった。個人に人気のテスラ株も、年初来リターンはマイナスのままだ。給付金は再浮上のきっかけとならなかった。

「前回までの給付金と異なり、消費により多く回っている」。米サンダイヤル創業者のジェーソン・ゲッフェルト氏はこう分析する。その証拠の1つとなりえるのが、クレジットカードの利用状況だ。

米金融大手バンク・オブ・アメリカがクレジットカードとデビットカードの利用状況を集計したところ、3月20日までの一週間で利用金額は1年前の同時期に比べて45%増となった。2年前と比べても23%増えている。バンカメは「バイデン政権による1.9兆ドルの財政出動が効いている」と推測する。

全米では新型コロナ予防ワクチンの接種が急ピッチで進む。ニューヨーク州ではこのほど接種対象の年齢制限が50歳以上から30歳以上に引き下げられ、30日から予約が始まった。ワクチン接種による集団免疫の獲得は、経済の本格再開にとって追い風だ。スポーツや娯楽イベントの入場制限が緩和され、消費の機会も増える。

給付金ラリーが肩透かしに終わっても、旺盛な消費を通じて経済が活性化すれば、株式市場にとってはポジティブだ。個人投資家が共闘買いに走る事態も起きにくくなる。米国の株式市場はようやく「正常化」への一歩を踏み出した。

(ニューヨーク=宮本岳則)

記事はいかがでしたか?

電子版に登録すると、さらにビジネスで役立つ記事をお読みいただけます。会員プランを見る

この記事はヴェリタスビューアーご購読者限定です。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン