春秋
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数年前のことだ。下宿生が多く暮らす東京のある街の喫茶店に初めて立ち寄った。客はコーヒーの香りを楽しみながら読書に没頭している。とても静かで居心地がいい。若い男女もいたのだが、会話は一切ない。店のルールなのだろう。卓上にはノートが置いてあった。
▼必要なときには、声を出さずに筆談で、ということらしい。暇にまかせてページをめくっていると……。男性が女性に交際してほしい、とまさかの告白。「ごめんなさい」...
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