野原一夫「回想太宰治」 東京・三鷹
まことにさっぱりした感じだった。
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太宰治が東京府三鷹村(現・三鷹市)に引っ越したのは1939年。旧制高校に通う作者の野原が初めて訪ねた戦前は、駅から100メートルほど行くと「雑木林と畑の、田園の匂い」がしたという。
太宰は戦火を逃れ一時、青森県の生家などに移るが、46年晩秋に舞い戻り、48年6月の死去まで住んだ。
今はテナントビルなどが立ち並ぶ駅前通り。その一角の三鷹市美術ギャラリー内に「太宰治展示室」が昨年末にオープンしている。...
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