夢想の世界つづる芥川比呂志 長谷川宏
透明な目でみつめる知の人
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戦後文学を代表する作家の一人・堀田善衞の作品に『若き日の詩人たちの肖像』(集英社文庫、全2巻)がある。みずからの経験をもとに戦争中の青春群像を描いた長編小説だ。
政治・経済・文化のすべてが戦争完遂へとなだれこむ天皇制ファシズムのもと、絶望と憔悴(しょうすい)と虚無を強いられる若者たちの日日を描いたものだ。骨身に沁みるように時代の暗さを経験した作家は、人物を戯画化し誇張し、人物名を「冬の皇帝」「良き...
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