演技する僭称者たち 名古屋外国語大学長 亀山郁夫
[有料会員限定]
幼子の命の犠牲の上に、国家の安寧はどこまで約束されるのか。そんな重い問いを突きつけるロシアオペラが、この11月、東京・初台にある新国立劇場で初演された。反ロシアキャンペーンが吹き荒れる欧米では到底考えられない勇気ある試みである。
オペラの題名は「ボリス・ゴドゥノフ」。19世紀ロシアの作曲家ムソルグスキーの傑作の一つで、「動乱時代」として知られる17世紀初頭のロシアが主な舞台。主人公ボリスは、リュ...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り481文字