貴婦人の装い(10)フレデリック・バジール「家族の集い」
日本女子大学教授 内村理奈
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明るい夏の陽光の下、木陰で思い思いに過ごしている画家本人の近親者たちの姿を描いたのが本作である。場所はおそらく南フランスのモンペリエ近郊で、画家の生まれ故郷であろう。
この絵のなかで、とりわけ涼しげな様子をしているのが、真ん中で椅子に座っている女性と、右端に座っている女性であろう。涼しげに見えるのは、ドレスが白地に青い水玉模様だからか。さわやかで軽やかな印象を与える水玉模様は、19世紀ならではの...