貴婦人の装い(7)ヴィジェ=ルブラン「薔薇を持つマリー・アントワネット」
日本女子大学教授 内村理奈
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マリー・アントワネットは14歳の時にフランス王太子ルイと結婚し、本作が描かれた時には、フランス王妃としてヨーロッパ中の注目を集める存在になっていた。身につけている衣装はすぐに宮廷の女性たちをはじめ、パリからヨーロッパ各地に知れ渡り、まさにファッション・リーダーであった。
自身の好きな淡い青色の宮廷衣装ローブ・ア・ラ・フランセーズに身を包み、胸元と袖口と、スカートの部分に軽やかな薄いレースが施され...