米保守派を読み解く『壁の向こうの住人たち』 小熊英二
「よい人」が陥る矛盾と感情
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学会や講演などで様々な国に行く。そのさい機会があれば、その国の保守的な人とできるだけ話す。ただし思想家や政治家より、信心深い中高年の地域住民や、あまり偉くなさそうな右翼活動家と話すのが好きだ。
なぜか。そういう人は意外に「よい人」が多い。仲良くなると街を案内してくれたり、食事に招いてくれたりする。だがそうした人が、異教徒や移民には悪態をつく。この一見矛盾した精神構造に関心がわくのだ。もちろん、単...