<書物の身の上 出久根達郎>兵営から逃げた男たち
愛児を思い自首を決める

2020/7/4付
情報元
日本経済新聞 朝刊
保存
共有
その他

作家・木村毅(き)の第一著作集『兎(ウサギ)と妓生(キーサン)と』(大正十四=一九二五年刊)に、「償勤兵」と題する短篇(たんぺん)が収められている。この小説は作者が二十四歳の年に書かれた。徴兵検査で甲種合格し、二カ年の軍隊生活を送った。その体験を基にした。従って小説の出来事は、大正二、三年頃とおぼしい。

兵営での初年兵は、まず例外なく上級兵のいじめにあう。そして厳しい規律。国の父が面会に来た時、…

[有料会員限定] この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます。

電子版トップ



[PR]