国際日本文化研究センター所長 井上章一(5)
フランスのアングルの裸体画「泉」
[有料会員限定]
フランスのアングルという画家に、『泉』と題された作品がある。いわゆる裸体画である。全裸の美女が瓶(かめ)をかかえ、こちらを見かえす構図になっている。
小学校5年か6年の時に図書室の美術全集で、はじめて見かけときめいた。なにか、いけないものを見てしまったように感じたことを、おぼえている。先生が近づいてくればページをめくり、べつの風景画をながめるようなふりもした。『泉』を思春期の私は、ポルノグラフィと...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り628文字