<書物の身の上 出久根達郎>性科学者の真摯な解説
発禁処分続々 時の人に
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「その二・二六事件の反面に於(お)いて、日本では、同じ頃に、オサダ事件といふものがあつた」(太宰治『苦悩の年鑑』)
三十二歳の阿部定が、情人を殺害し陰茎を切り、それを持って逃走した事件である。太宰は記す。「オサダは眼帯をして変装した。更衣の季節で、オサダは逃げながら袷(あわせ)をセルに着換へた」
当時の新聞は男性器を何と表現したか。「下腹部」(東京朝日)「局所」(読売)「グロ物件」(名古屋新聞)「...