坂井修一
傑作SFはジャンル分け不要 文芸と科学の根っこは同じ
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レイ・ブラッドベリ『太陽の黄金(きん)の林檎(りんご)』(ハヤカワ文庫)に、「霧笛」という短編が収められている。
僻地(へきち)の灯台の霧笛に誘われて、海の怪物がやってくる。遠い昔に絶滅したはずの恐竜だ。彼(女)は霧笛を仲間の声と思って近づいてくるが、自分の望む相手でないことを知って、灯台をぶちこわして去ってゆく。
それだけの話なのだが、この文章がすばらしい。
「『それが人生というもんだ』と、マ...
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