生きる×食文学(1)平松洋子
石牟礼道子「椿の海の記」 自然と不可分に暮らす
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食には生活や人の生き方が表れる。戦後の文学やエッセーを通して、自然、家族、性といった要素を色濃く映した食の魅力をエッセイストの平松洋子さんが紹介する。
石牟礼道子さんが亡くなってから1年1カ月が経(た)つ。友人たちとともに病床の石牟礼さんを訪ねたのは、逝去の3か月ほど前のこと。ベッドに横たえた身体はいっそう小さくなっておられたが、話しかけると、消え入りそうだが意思のこもった声で応じてくださり、眼...