小田原名物 口上の妙味
「外郎売」研究、出し物を創作し各地でイベント 善波裕美子
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「拙者、親方と申すは、お立会の中(うち)に御存知(ごぞんじ)のお方もござりましょうが――」
ちょうど300年前の享保3年(1718年)正月、江戸・木挽町(現在の銀座6丁目周辺)の森田座で二代目市川団十郎が初演した「外郎売(ういろううり)」のセリフだ。今も歌舞伎十八番の一つとして上演される人気演目である。通称ういろう、正式名は透頂香(とうちんこう)という丸薬の効能を、早口で述べる口上が見せ場となっ...