メロスは激怒した 門井慶喜

2017/6/2付
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日本経済新聞 夕刊
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メロスは激怒した。

というのはもちろん太宰治の短篇(たんぺん)「走れメロス」の最初の一行。日本の小説の有名な書き出しを挙げるなら、漱石「吾輩は猫である」、川端康成「雪国」あたりとともにベスト3に入るにちがいないが、しかし実際には、

――なんで名文なの?

と思う人も多いのではないか。

「吾輩は猫である。名前はまだ無い」ならわかる。人間ではない、名前もない存在がすらすら一人称の人語をあやつる設定は当時…

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