台湾と日本のはざまを生きて 羅福全著
独立運動、無国籍状態から「世界人」へ
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本書の「自序」は「私は紛れもない台湾人である」という一文からはじまる。羅福全氏は1935年に日本統治下台湾の嘉義市栄町に生まれた。日本で終戦を迎え、帰郷した翌年に二・二八事件がおき、知人が虐殺され、晒(さら)されるのを見た。少年が成長とともに台湾独立運動へ傾倒したのは不自然なことではない。台湾大学経済学部を卒業した彼は、再び日本を経て、米国ペンシルベニア大学へと渡った。そして、開発経済学を修めな...