IT(情報技術)業界で大きな地殻変動が起きている。8月半ばに米グーグルが米通信機器大手、モトローラ・モビリティーを約1兆円で買収すると発表。その9日後にはアップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が退任した。米ヒューレット・パッカード(HP)はパソコン部門の分離も検討しているという。M&A(合併・買収)や業界再編で勝ち残りを目指す各社は今後、どのような事業戦略を練り、勢力図はどう変化していくのか。またスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に代表される携帯端末の普及で、今後どんなサービスや技術が人々の生活を変えていくのだろうか――。
東京、米シリコンバレー(カリフォルニア州)、韓国ソウルで、IT業界を定点観測している専門記者3人に、各社の戦略や激動する市場の行方について語ってもらった。
《発言者》
石川温(ジャーナリスト、月刊誌「日経Trendy」編集記者を経て、2003年に独立)
奥平和行(日本経済新聞社シリコンバレー支局記者)
尾島島雄(日本経済新聞社ソウル支局記者)
司会は電子版テクノロジーデスク=敬称略
――病気療養中だったジョブズ氏がCEOを退任し、ひとつの時代の節目を迎えました。
奥平 「グーグルのモトローラ買収の直後に、ジョブズCEOの退任が発表になったのには、因縁めいたものを感じますね」
「ジョブズ氏がCEOとして臨んだ最後の製品発表会では、『パソコンは間もなくデジタル生活の主役ではなくなる』と発言しています。スマホなどモバイル機器が舞台の主役に躍り出つつあることを強く感じました」
石川 「ジョブズ氏はIT業界のあらゆる常識を壊してきた存在。そのおかげで、パソコン、音楽プレイヤー、スマホ、タブレット端末が消費者に一気に近づいた。ジョブズ氏がいなければ、いまだにスマホは使いにくいものだったかもしれません」
――ジョブズ氏の功績をどう評価しますか?今後、アップルの経営は変質していくのでしょうか。
石川 「『ものづくり』だけをしていればよかったメーカーも、『仕掛け作り』をしなくてはいけないということを気づかせてくれました。iTunes(アイチューンズ)やAppStore(アップストア)など、垂直統合モデルの素晴らしさも教えてくれた」
「若い頃から、満足できないものには『No』を言い続け、それを引退するまで言い続けた点がアップル成長の大きな原動力だったように思えます」
アップル、グーグル、サムスン電子、ウィンドウズ、マイクロソフト、ノキア、iPhone、ソニー・エリクソン、モトローラ、スマートフォン
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