東日本大震災から9カ月半。被災地の復興は緒に就いたばかりだが、そうした状況下で、新たな巨大地震の発生が懸念されている。複数の調査研究結果を総合すると、北海道東部の根室から十勝にかけての沖合で、先の震災と同じような巨大地震が近い将来、起きる可能性がある。そうなれば北海道の太平洋岸はもちろん、東北地方の三陸沿岸にもかなりの規模の津波が再び襲来する恐れがある。
産業技術総合研究所と北海道大学の平川一臣特任教授らのグループはそれぞれ北海道東部の海岸部や海岸近くの湿地の地層を調べ、過去約5500年間に少なくとも15回、大津波が同地域に襲来していることを明らかにした。前回の大津波は17世紀初めごろ。平川特任教授らは十勝地方沿岸の調査で、そのときの津波が高さ約20メートル丘陵まで到達した痕跡を発見している。
産総研による最近の調査研究によると、この大津波の再来間隔は平均約400年。前回が17世紀初めごろだったので現在はほぼ満期になる。過去の再来間隔には、かなりのゆらぎが見られるので100年以上のズレもありうるが、状況はそれほど楽観できない。
気になる兆候はすでに現れている。北海道の東部沿岸では、ここ100年ほど沈降が続いている。北海道の東端、根室にある検潮所の潮位が示す地盤沈降速度は年1センチ、100年で1メートル下がるペースだ。「通常では考えられない非常に速いスピード」と産総研活断層・地震研究センターの宍倉正展・海溝型地震履歴研究チーム長は言う。
沈降が続いているということは海底下でひずみの蓄積が進んでいることを意味する。実際、国土地理院が全国に展開した全地球測位システム(GPS)観測網のデータ解析結果を見ると、北海道東方沖では、かなりのペースでひずみが蓄積しつつあることがわかる。
東日本大震災が起きる前、産総研の研究グループなどは、東北地方の宮城県から福島県にかけての太平洋岸に500~1000年間隔で大津波が押し寄せており、その繰り返し間隔から考えて近い将来、大津波が再来する恐れがあると警鐘を鳴らしていた。一方、国土地理院のGPS観測網のデータ解析結果では、宮城県沖を中心とした広域でひずみが蓄積しつつあることが示されていた。しかし、多くの専門家はこれらの研究報告をそれほど重視せず、「想定外」の巨大地震となった。そうした前例を考えれば、北海道東方沖の現状について十分な注意を払い、防災対策を練る必要がありそうだ。
(詳細は日経サイエンス2012年2月号に掲載)
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巨大地震、北海道東方沖、震災
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