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「無線免許競売に理解を」FCC委員長、懸命の呼びかけ CES2011
ITジャーナリスト 小池 良次

2011/1/10 10:51
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 米連邦通信委員会(FCC)のジュリアス・ゲナコウスキー委員長は1月6~9日に米ラスベガスで開催された家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で講演し、無線ブロードバンド政策の重要性を訴えた。

CESで講演するFCCのジュリアス・ゲナコウスキー委員長

 同講演の趣旨は次のようになる。

(1)米国は無線ブロードバンドの需要が急速に伸びており、政府が積極的に周波数を開放していかなければ、携帯電話などのモバイルブロードバンドは破綻する。

(2)FCCは、「全米ブロードバンド計画」に従い、向こう10年間で500MHzの周波数帯域を供給するため、様々な政策を積極的に進めている。

(3)地上波放送は最近、デジタル放送に移行した。移行後、取得した免許を有効に利用している放送局もあるが、逆に十分に活用できていない局もある。FCCはこうした状況を鑑み、国民の重要な資源である電波の有効活用を促すため、ボランタリー(自由参加)による無線競売を計画している。

(4)現在、このボランタリー無線免許競売の法案は議会で審議されているが、通過次第、迅速に競売の実施に向けて注力したい。

(5)この法案の早期成立には、全米家電協会(CEA)を含め、業界や一般市民の理解と協力が必要で、FCCは広く支持を呼びかけている。

 FCC委員長がCESで話すのは珍しいことではないが、慣例として「対談形式」が一般的だ。しかし、今年は正式な「委員長講演」を行った。対談は非公式な意見の表明だが、講演となるとFCCの正式な書類として残り、業界や企業などへの公式な要望や指導となる。ではなぜ、ゲナコウスキー委員長は、対談ではなく講演を選んだのだろうか。これはボランタリーによる無線競売が難しい問題をはらんでいるためだ。

 ボランタリー無線免許競売は、地上デジタル放送業界に与えた無線免許を、各放送局の自由意志によって返上させ、無線ブロードバンドへ転用する試みだ。一般的に、一度交付した無線免許は更新時期がきたり重大な違反が起きたりしない限り、政府が取り上げるわけにはいかない。しかし、大きな周波数を占めているデジタル放送から免許を返納させ、ブロードバンドに転用しなければ、無線ブロードバンドの急激な需要拡大に対応できない。そこで自主返上による無線免許競売という施策をFCCは進めようとしている。

 もちろん、放送業界はいったん手にした免許を返上することに強い抵抗感を持っている。そこで国民の声や業界の支援を集めて、放送業界の反対を押し切ろうとしているわけだ。

 このボランタリー無線免許競売は、オバマ民主党政権の重要な政策でもある。しかし、昨年11月の中間選挙で民主党は大敗し、今年から連邦議会は野党共和党が主導権を握る。放送業界は同政策の反対を共和党に働きかけている。

 こうした状況から、当初2月には通過するだろうと言われていたボランタリー無線免許競売に関する法案の先行きが不透明になっている。FCC委員長が、米国最大の展示会であるCESで公式な講演を行ったのはこうした事情からである。もちろん、全米家電協会はボランタリー無線免許競売を支援しており、ほかの業界団体とともに議会に早期通過を求める書簡を送っている。

 今年のCESでは、無線ブロードバンド機能を搭載したタブレット端末やノートパソコン、電子書籍端末などが数多く展示され人気を呼んでいる。しかし、その裏では周波数の既得権益を維持しようとする地上波放送業界と、無線ブロードバンド機器の普及のために権益の切り崩しを狙う家電業界の厳しい政治的な駆け引きが繰り広げられている。

小池良次(Koike Ryoji)
 米国のインターネット、通信業界を専門とするジャーナリストおよびリサーチャー。88年に渡米、93年からフリーランスジャーナリストとして活動している。サンフランシスコ郊外在住。主な著書に「クラウド」(インプレスR&D)など。

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FCC、ゲナコウスキー、無線ブロードバンド、CEA、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー、デジタル放送、ブロードバンド

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