米国時間の11日、家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で連邦通信委員会(FCC)のジュリアス・ジェナコウスキー委員長が講演し、ブロードバンド振興策を進める上での課題を示した。講演の後半は全米家電協会(CEA)のゲーリー・シャピロ最高経営責任者(CEO)との対談だったが、前半では正式な講演原稿を読んでいる。政府関係者が正式な講演原稿を読んだ場合、公式な書類として保管され、政府関係者の公式見解となる。CESの場であえて公式の講演をした意図は、12年末の米大統領選挙でバラク・オバマ大統領の再選を後押しすることにあったようだ。
■FCCに抵抗するテレビ業界を批判
ジェナコウスキー委員長の講演は、オバマ政権が公約として掲げた「ブロードバンド振興による経済活性化」にテーマを絞って進められた。特にFCCの最優先課題となっているモバイル・ブロードバンド向け周波数オークションの推進では、反対姿勢を鮮明にしている地上テレビ業界を厳しい姿勢で批判した。
FCCはブロードバンドの振興で経済活性化を具体化する「全米ブロードバンド計画」を立案し、議会から承認を得ている。計画の目玉が、不足するモバイル・ブロードバンド向け周波数の確保だった。FCCは衛星通信や船舶無線などから周波数を集め、用途変更により問題を解決しようとした。その一環でデジタル放送に移行した地上テレビ局の周波数にも目を付けた。
ただし、いったん交付した無線免許を政府の都合により強制的に取り上げることは、制度的にも倫理的にも好ましくない。そのためFCCは放送局に、“自由意志”で無線免許を拠出を呼びかけ、集まった周波数を競売にかけることを提案した。これを「ボランタリー・オークション」あるいは「ツー・ウェー・オークション」と呼んでいる。この提案に対して地上業界は“自由意志”であることを盾に否定的な態度を示し、FCCと対立している。
一方で携帯電話業界では、政府による周波数確保が進まないため、買収や合併により無線免許を確保する動きを進めている。
11年にAT&Tモビリティーが同じ携帯電話会社のTモバイルUSAを買収しようとしたのはその一例。この買収案は米司法省とFCCが、競争環境が阻害されることを理由に阻止した。これ以外にもベライゾン・ワイヤレスがCATV会社大手が保有していた周波数を購入したり、携帯電話同士で不足する地域の周波数を相互に売買したりする動きがある。それでも現状では、政府が目指すモバイル・ブロードバンドによる経済活性化の実現は難しいと考えられている。
ジュリアス・ジェナコウスキー、FCC、CEA、CES、ブロードバンド、ベライゾン・ワイヤレス、AT&T
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