ビー・エム・ダブリュー(BMWJ)は、「1シリーズ」「3シリーズ」に希薄燃焼の直噴自然吸気エンジンを導入し、燃費改善を図ったことを明らかにした。10.15モード燃費は、3シリーズセダンの6速自動変速機仕様の場合、従来の自然吸気2.0Lエンジンで12.0km/Lだったものが、27%改善した15.2km/Lに向上。さらに6速手動変速機仕様ではアイドリングストップ機構も新規に導入し、従来の12.8km/Lから18.4km/Lと44%も向上した。
ドイツBMW社は、2006年に直列6気筒ターボエンジンで「スプレーガイデッド直噴」と呼ぶ方式を導入し、3シリーズなどに搭載した。このエンジンは理論空燃比で運転しているが、同エンジンで開発したインジェクタや燃焼室設計をベースに、希薄燃焼化を図り、今回排気量2.0Lの直列4気筒エンジン、3.0Lの直列6気筒エンジンに適用した。直列4気筒エンジンは「N43」型で、国内では1シリーズのハッチバック、クーペ、カブリオレ、3シリーズのセダン、ツーリング、クーペに搭載。一方、6気筒エンジンは「N53」型で、国内では3シリーズセダン、ツーリング、クーペに搭載している。
スプレーガイデッド方式の特徴は、新開発したインジェクタで円錐(えんすい)状に燃料を噴射し、その円錐状の燃料分布の側面に点火プラグを配置する独特な燃焼室形状を持つこと。通常のインジェクタは先端部に燃料を噴射する円形の噴射口を複数個開けておき、そこから直線上に燃料を噴霧する。一方、新インジェクタは円錐状の噴射を実現するため、吸排気弁と同じポペット弁(弁体が弁座シート面から直角方向に移動する形式)を採用しており、従来のニードル弁と噴射口を組み合わせたインジェクタとは構造が異なる。
ポペット弁では、インジェクタの先端部をピエゾ素子で直接押し、先端部に円周状のすき間を発生させる。この結果、円錐状に燃料が噴射される。この円錐形状はピストンが圧縮行程となって、筒内圧が上昇しても崩れにくい。また、円錐状の傘に沿って空気の渦ができるため、その部分に燃料が供給され、ドーナツ状に燃料の濃い部分が形成できる。希薄燃焼では全体の空燃比が薄く、点火が難しくなるが、このドーナツ状の燃焼の濃い部分近くに点火プラグを配置することで安定的な着火が可能という。
同社では通常のポート噴射4弁エンジンが可変バルブタイミング機構や可変バルブリフト機構なしの場合、エンジンの熱効率が23%程度であるのに対し、新エンジンは30%程度になるとしている。
希薄燃焼化によってNOx(窒素酸化物)の排出量が多くなるが、排ガス後処理装置にはNOx吸蔵還元触媒を使用した。BMW社では8万kmの耐久性を維持しながら日本など各国の規制に対応できるように、触媒を改良したという。なお、NOxを還元するためには、還元剤となるH2(水素)やCO(一酸化炭素)を生成するためにHC(炭化水素)を触媒システムに供給する再生モードが必要になるが、このHCはインジェクタにより供給している。
4気筒エンジン搭載車については、ステアリングシステムを電動パワーステアリングに変更しており、燃費向上と操舵(そうだ)力軽減を実現した。
(日経Automotive Technology 林達彦)
[Tech-On! 2010年8月20日掲載]
BMW、エンジン、インジェクタ、燃費、希薄燃焼、直噴、アイドリングストップ
2012年2月7日付 (2/6)
・三菱自、10年の重荷下ろす
・日本パーカライジング、節水・省エネ型の自動車用塗装設備を独社と拡販
・コベルコクレーン、大型クレーンをインドで生産
・東洋インキ、中印で拠点増強
・サントリー酒類、ハイボール提供機2000店に…続き