先週ほど潮流の速さを思い知らされたことはなかった。国際家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」(1月10―13日)の開催に合わせて、前回、前々回と、スマート・アプライアンス(家電)、なかでもスマートTVを巡る動向の的中ぶりを自画自賛していたら、アップルが19日にiPad向けの電子書籍閲覧アプリケーション「iBook2 for iPad」の提供を開始し、iPad向け電子書籍を作成するためのオーサリングツール「iBooks Author」もリリースした。今回はこの発表の持つ意味を、これまで私が羅針盤から見立ててきた航路に沿って解説してみたい。
この連載の第19回「日本の若き技術者たちよ、テレビを面白くせよ」で、スマートTVは生態系として捉えねばならないとして、以下のように述べた。
「スマートTVについて考えるときは、レイヤーで考えなければならないということである。『レイヤー』というのは、地層のように重なった層のことである。『レイヤーで考える』というのは、どういうことかというと、スマートTVは何か単一の製品があるととらえるのではなく、様々な役割を持った経済主体で形成される生態系だと考えなければならない」
「レイヤーは、下から『プラットフォーム・レイヤー』、『物理レイヤー』、『アプリケーション・レイヤー』、『コンテンツ・レイヤー』を想定しておけば、当面は十分である」
■新サービスを「アップルTV生態系」で考える
さて、“アップルTV生態系”のプラットフォーム・レイヤーを担当するアップルが今回発表した「iBook2 for iPad」「iBooks Author」は、どのレイヤーに属するといえるのだろうか?結論だけいうと、「アプリケーション・レイヤー」に属するのである。
と申し上げると、「なるほど、4つのレイヤーのうちのどれかと尋ねられれば、『アプリケーション・レイヤー』だろう。だって、どちらも『App Store』から、ダウンロードできるんだし。だが、ちょっと待って。『iBook2 for iPad』は、名前の通りiPadの上で動くアプリだし、『iBooks Author』は、Mac上で動作する。それがどうして、『アップルTVの生態系のアプリケーション・レイヤーに属する』などと言えるのか?」という当然の疑問の声が聞こえる。
実際、「iBook2」は、iPadだけでなく、iPhone、iPod touchでも動作する。それよりも何よりも、そもそも、アップルTVについては、現行の「オモチャ版(故スティーブ・ジョブズ談)」でない、「本格版」の登場の時期が、「2012年半ばに発売」と噂されているにすぎないのだから。
iPad、CES、アップル、スマートTV、グーグル、LG電子、サムスン電子
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