14日、15日の両日に渡り開催された「世界ICTサミット2010」(日本経済新聞社・総務省主催)では、「電子書籍」や「スマートグリッド(次世代送電網)」など新市場を立ち上げるための活発なやり取りが展開された。議論はインターネット時代に対応した法制の見直しにも及んだ。「リーマンショック」を経て、少子高齢化が進む日本経済は新たな成長段階の模索を本格化させているが、ICTを最大限活用するには規制緩和を含むデジタル時代の新ルール作りが欠かせないからだ。
15日午前の討論で話題の中心となったのがスマートグリッド中核機器として都市部の電力監視や制御を担う「スマートメーター」のあり方。クラウドコンピューティングの技術を生かし、省電力に役立つとの期待がある一方でプライバシー情報の流出などを懸念する声もある。登壇者からは「外部から電力を制御されることに違和感を覚える人もいる。世論形成が必要」(東芝の竹中章二・電力流通・産業システム社統括技師長)との指摘もあった。
米グーグル日本法人の村上憲郎名誉会長はスマートメーターの仕様を過度に細かく規定すると「過剰品質」になりかねず、柔軟性を損ないかねないと強調。電力の消費状況などに関するデータは個人の物という原理・原則を確認したうえで、新サービスの導入を前進させるべきだと訴えた。
新たなルール作りは、「iPad」などの登場で熱を帯びるデジタルコンテンツ(情報の内容)流通でもテーマになった。15日午後はコンテンツの流通促進と著者らの権利保護について議論が白熱。長尾真・国立国会図書館長はコンテンツの利用促進へ現行の許諾権から「報酬請求権」への著作権法の見直しなどを提起した。
角川歴彦・角川グループホールディングス会長兼CEO(最高経営責任者)は「日本のコンテンツは国際的に評価が高く市場規模も大きい割に収益化ができていない」と指摘。一定のルール見直しに同調した。
放送界では永井研二・日本放送協会専務理事・技師長がNHKのビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスで著作権処理に巨額の経費がかかっていることを明らかにした。
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