強力な殺菌力を持ちながら人体には優しい――。こんな特徴を持つ「中性電解水」が注目されている。食塩水を特殊な方法で電気分解して作り、殺菌・抗ウイルス作用を持つ一方で、皮膚などへの刺激が少ない。従来型の塩素消毒に代わるプールでの利用が始まったほか、院内感染予防のため病院での利用も広がろうとしている。
東京・世田谷の住宅街にある「DIVAスポーツクラブ」。8月16日から中性電解水を消毒に使い始めた。プラントメーカーの日本テクノ(東京都大田区、大政龍晋社長)が開発した電解水の連続製造装置を設置し、従来型の塩素消毒から転換した。
日本テクノは独自技術の「撹拌(かくはん)振動流動法」で中性電解水を作る。食塩を含む水に振動を伴った流動撹拌を与えながら連続的に電気分解をする方法だ。
同スポーツクラブには25メートル競泳用とダイビング用の2つのプールがあり、水量は合計で約720トン。地下の機械室に設置した電解水の製造装置は、2~2.5%の食塩水を電気分解し、1時間当たり40リットルの電解水を作る。プールの塩素濃度が低下すると自動的に電解水を供給し、0.5PPM(PPMは100万分の1)前後の塩素濃度を維持する。
殺菌作用を持つ一方、目や皮膚への塩素などによる悪影響がほとんどないのが中性電解水の特徴。日本テクノはこの電解水がインフルエンザウイルスや院内感染の原因菌を殺す作用が強いことも、東京女子医科大学との共同実験で確かめている。
この中性電解水が菌やウイルスを殺す仕組みは、「塩素に対して酸素が通常より多く結合した状態になっており、殺菌などの機能は実際には酸素の働きによるとみられる」(日本テクノ)という。詳しいメカニズムは解明中という。
同スポーツクラブを経営する鈴木孝壽・五光代表取締役によると、プールの塩素臭がほとんどしなくなった上、ゴーグルなしで泳いでも目が痛くならない。長時間プールに入るスタッフも皮膚が荒れなくなったと話している。
プールの水の透明度も改善した。通常の塩素消毒だけでは防ぐのが難しい、バイオフィルムと呼ばれる菌類が固まった膜が水管などにできにくくなるという。
導入費用は約1千万円。1日当たり40~50キログラムの塩を消費するが、他の薬剤は使わなくて済むため、「運用コストは半減できる」(鈴木社長)とみている。
日本テクノはもともと、同様の方法で作る中性電解水を化粧品として商品化しており、肌を整える働きをうたっている。今後は他のスポーツ施設や病院などでの用途開拓も進める考えだ。
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