デジタル社会で生まれ育ち、成長の過程でIT(情報技術)を使いこなしてきた「デジタルネーティブ」世代――。急速に広がったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)ひとつをとっても、親の世代と比べるととらえ方からツールとしての使いこなし方までが根本的に異なっている。
日経産業新聞で7月6日付から連載している「ネットのチカラ」では、日本のソフト開発で中心的な役割を担いつつあるデジタルネーティブ世代の動向を紹介している。これに合わせて日経電子版の読者を中心にアンケートを実施。親の世代はどう考え、子供たちは実際にどのようにITを使っているのか、実態を探った。
デジタルネーティブ世代のひとり、渋谷教育学園幕張高校の渡辺祥太郎君(16)は米アップルのiPhone向けに開発したアプリをネット上の配信サイト「iTunes(アイチューンズ)ストア」で公開。ミニブログ「ツイッター」やSNS、ブログといったツールを駆使して、超低コストで「宣伝」する。物心ついたときにはもうインターネットが身近にあった渡辺君はツールを抵抗なく受け入れ、効果的な道具として使いこなしている。
「女子高生パワーで会員が急増した」。大手SNS「mixi」を運営するミクシィは2008年12月から15歳以上に対象者を広げた。15~17歳の会員は約77万人(3月現在)に膨らみ、ミクシィの総会員数は2000万人を突破。さらに対象年齢を下げれば、ますます会員が増加するとみられているが、親世代にはSNSの低年齢層化に反発する声も少なくない。
「ツイッターとSNSは大学生から使うべき」――。今回の調査で30~50歳代の親世代は子供のインターネット上で情報を交換することに慎重なことが分かった。
ソーシャルメディアをいつから使い始めて良いか聞いたところ、40%超がミニブログ「ツイッター」やSNSを「大学生から使うべき」と答えた。
使わせたくない理由として「個人情報の流出や不用意な書き込みでトラブルの元になる」といった声が目立った。確かにネット上のトラブルが社会的な事件につながるケースも出ている。
だが親の考えとは異なり、子供のネット活用は進んでいる。「子供がSNSなどソーシャルメディアを利用していますか」との問いに対し、すでに31%がSNSやブログなど何らかのサービスを使っていると回答した。
年齢問わずサービス自体を使わせたくないという声が多かったのが、携帯ゲームサイトだ。ディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーなどが運営し、会員数が伸び続けている。だが親世代の意見として「テレビゲームと違い、勉強せず夢中になっていても気づかない」「勝手に課金されると困る」など目が行き届かないことを懸念した声が多かった。
ただ渡辺君が開発したアプリを世界に向けて公開できたのは、親の理解があってこそだった。アイチューンズにアプリを登録するにはクレジットカードが必要なため、普通の高校生は道を閉ざされる。渡辺君は販売者に父の名義を借りて登録した。
渡辺君の父、弘美氏は47歳。大学生や社会人になってパソコンを使い始めた世代で、同い年には米アマゾン・ドットコムの創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏がいる。90年代のネット黎明(れいめい)期を知る世代が親となり子供を手助けする。デジタルネーティブが世界に羽ばたくためには、それを可能にする環境も不可欠になる。
日経電子版の読者を中心にアンケートを実施。6月22日から30日までの調査期間で、30~50歳代の2552人から回答を得た。
アンケートでは、すべてのサービスを使わせないのではなく、勉強にも役立つ検索サービスは小学生から、電子辞書と電子メールは中学生から使わせても良いと多くの親が回答した。SNS、ツイッター、携帯ゲーム――親と子の姿勢には大きなズレがあるが、ネットサービスは日々膨らみ続けている。
(西雄大、諸富聡)
(連載記事「ネットのチカラ 第7部」は7月6日付日経産業新聞1面に)
ツイッター、SNS、ミクシィ、インターネット、ディー・エヌ・エー、グリー
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