東京電力の福島第1原子力発電所の事故以降、盛り上がっている自然エネルギーの導入拡大議論では太陽光発電と風力発電についての言及が大半を占めている。ここに来て、地熱発電がようやく話題になり始めた程度だ。だが、自然エネルギーにはバイオエタノール、バイオディーゼル(BDF)などバイオ燃料もある。低炭素社会の構築にはバイオ燃料も含めた多様な自然エネルギーの活用が不可欠だ。
ソフトバンクの孫正義社長は大震災以降、太陽光発電など自然エネルギーの導入拡大を呼びかけ、「休耕田に太陽光発電パネルを」というアイデアを提唱している。このアイデアをバイオ燃料とあわせて考えれば、農地では太陽光パネルを設置して発電すべきか、バイオ燃料をつくるべきか、という自然エネルギー間競争の提起になる。
現在、日本のメーカーが販売している太陽光発電パネルの想定年間発電量は1平方メートルあたり約200キロワット時。これを熱量換算すると720メガ(メガは100万)ジュールとなる。一方、バイオ燃料の生産量は使う作物によって大きな差がある。1ヘクタールの作付けで収穫したものからエタノールをつくると、トウモロコシでは2133リットル、サトウキビでは5191リットル、コメでは1637リットル、ジャガイモでは2797リットルが生産できる計算だ。
エタノールは1リットルあたり22.1メガジュールの熱量を持っているため、1平方メートルあたりに直して計算すると、トウモロコシでは年5メガジュール程度にすぎない。エタノール生産に最も向いたサトウキビで、多収穫品種や株出しと呼ばれる栽培法を駆使しても年25メガジュールに達するかどうかだ。面積あたりのエネルギー生産量でいえば、太陽光発電は最も効率の良いバイオ燃料生産の30倍もの効率性がある。人間の生み出した太陽光発電パネルは植物の光合成を効率では上回っている面がある。
だが、世界の自然エネルギー活用の潮流はバイオエタノールやBDFを捨て、太陽光発電に向かっているわけではない。
世界最大のバイオエタノール生産国である米国では年間1億2000万トンのトウモロコシがエタノール原料に投入されており、その作付け面積は1200万ヘクタールに及ぶ。日本の全耕地面積約460万ヘクタールの2.6倍にもあたる規模だ。サトウキビからエタノールを生産するブラジルや菜種、ひまわりなどからBDFを生産するフランスをはじめとする欧州連合(EU)では、バイオ燃料生産は着実に拡大している。今や世界の石油消費量に占めるバイオ燃料の比率は2.1%にも達しているのだ。「E10(エタノール混合比率が10%のガソリン)」が導入されている米国ではすでにガソリン消費量の9.3%がエタノールに転換している。
太陽光発電、バイオ燃料、バイオディーゼル、ソフトバンク、自然エネルギー
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