鏡のような映り込みのある鏡面加工は、磨き加工(研磨)で実現するのが常識だ。ところが最近、国内企業の中にはその常識を打ち破って、切削加工で鏡面を「削り出す」ところがある。面粗さ(Ra)で数~数十ナノメートル(ナノは10億分の1)という、非常に高精度の加工である。真空装置に使う部品、医療用途のインプラント用部品などでは、磨き加工に使う砥(と)粒の破片が加工面に残ることを嫌う。このような用途にも適用可能な技術だ。
アルミ精密部品の切削加工を手掛ける中田製作所(大阪府八尾市)は、直径100ミリメートルや300ミリメートルといったかなり大きな刃先交換式エンドミルで鏡面(平面)を切削する。大きな面積を短時間で加工できるのが特徴だ。
チップには「エッジ部が滑らかな単結晶ダイヤモンドを使う」。そのチップを1つだけ使うのがミソだ。複数のチップを取り付けると、その取り付け誤差によって微妙な高さの差が生じ、目的の精細さを実現できなくなってしまうため。さらに、主軸の回転数や送り速度などの加工条件についてのノウハウを加味して、加工を実行する。
鏡面加工は微細加工の1つといえるが、中田製作所が微細加工技術を持つようになったきっかけは、勘違いだった。自動車部品メーカーからの「直径100分の5ミリメートルの穴あけ」という依頼を、「500マイクロメートル(マイクロは100万分の1)」と思いこんで引き受けてしまったという。
その後勘違いが分かったが、引き受けた以上は何としても成し遂げなければならない。工具や加工条件を工夫することで、何とかその案件をクリアした。
ところがクリアしたらしたで、要求は30マイクロメートル、20マイクロメートルとエスカレート。そのレベルになると、ほかにそのような技術を持つ企業もなく、いつのまにか同社は微細加工の蓄積を持つようになってしまった。2009年には、森精機製作所の「切削加工ドリームコンテスト」の微細加工部門で金賞を受賞するまでになった。
鏡面加工、研磨、切削加工、ダイヤモンド、微細加工
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