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夏野氏が語る日本再生の処方箋「IT使い最先端走れ」
「ネットのチカラ」第3部 冒険者たち(5)

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2010/10/29 7:00
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夏野剛(なつの・たけし)氏 慶応大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授。1988年早大政治経済学部卒、東京ガス入社。97年NTTドコモに入り、松永真理氏らと「iモード」を立ち上げる。2008年ドコモ退社。現在ドワンゴ、グリーなどIT(情報技術)関連を中心に約10社で取締役を務める
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夏野剛(なつの・たけし)氏 慶応大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授。1988年早大政治経済学部卒、東京ガス入社。97年NTTドコモに入り、松永真理氏らと「iモード」を立ち上げる。2008年ドコモ退社。現在ドワンゴ、グリーなどIT(情報技術)関連を中心に約10社で取締役を務める

 政治や経済の混迷が続く日本。IT(情報技術)の活用や経営モデルの改革などを通じて国際的な競争力を回復するにはどうすればいいのか。携帯電話を使ったネット接続サービス「iモード」の生みの親で、複数の有力IT企業で取締役をつとめる夏野剛・慶応大学大学院特別招聘(しょうへい)教授に処方箋(せん)を聞いた。

 ――ITをテコに起業家をめざす若者が目立ち始めた。

 大企業に勤めることの不確実性が増幅している。優秀な人材が起業に向かう傾向が強まっていると思う。彼らをサポートするお金と人の流れをつくるべきだ。

 日本に有力なベンチャーが育たなかった理由は、まず資金の問題がある。金融機関はリスク管理を徹底し、リスクマネーがベンチャーに回らない構造がある。仮にカネは出せても、ビジネスの経験がなく経営の助言まではできない。米国ではビジネスで成功すると投資側に回ったり、投資側から起業家に転じたりする。カネも口も出す。

 ――大企業もベンチャーのような変革を主導できるか。

 iモードは通信業界に対するIT革命だと思っている。競争原理が大きく変わった。大企業による変革が社会的影響は一番大きい。ベンチャーが出てきて大企業が刺激され、その結果として経済全体が活性化する。すべてベンチャーでできるというわけではない。

インターネット業界での主な動き
1994年ヤフー創業
ネットスケープ・コミュニケーションズ創業
アマゾン・ドット・コム設立
1995年マイクロソフトが「ウィンドウズ95」を発売
1998年グーグル設立
1999年NTTドコモが「iモード」を開始
2000年AOLとタイムワーナーが合併を発表
2001年アップルが初代「iPod」を発売
2004年フェースブック創業
2006年グーグルがユーチューブ買収を発表
2007年アップルが初代「iPhone」を発売
アマゾンが初代「キンドル」を発表
2009年オラクルがサン・マイクロシステムズの買収を発表

 ――ITを日本復活にどう生かすか。

 まず「IT産業」という言い方を捨てるべきだ。かつて「鉄は国家なり」の時代があり、「半導体は産業のコメ」といわれた時期があった。今は「全産業のインフラがIT」だ。IT産業、ネットワーク業といった囲いをもうけることに意味はない。ITをどう経営に生かすかは、新聞社からコンビニまですべてのプレーヤーにとって死活問題だ。教育や政治、行政もITの活用を真剣に考えなければならない。

 日本はいろいろなアプリケーション、応用事例を世界に先駆けてつくれる。固定も移動もデバイスも、日本ほど通信ネットワークが整った国はない。ITによる効率化を最も進めやすい国だ。電子マネーが日本ほど普及した国はない。ガラパゴスといわれる携帯電話も90%のユーザーが電子メールを使っている。世界に冠たるアプリケーションだ。選挙でも教科書でも医療でもIT化のモデルをつくればいい。

 戦国時代、織田信長は鉄砲を組み入れた独自の戦略を立てて戦いに勝った。鉄砲そのものがすごいわけではなく、鉄砲という新技術を取り入れた戦略がうまかった。企業もITという新技術を使って戦い方、戦略の立て方を根本的に変える必要がある。今は全産業に「鉄砲」が配られている状態だ。経営者も学校の校長もリーダーは世界最先端をつくり得る。

 ――製造業も競争力を回復できるか。

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