温暖化ガスの排出が今より減り、引け目を感じずに済む日が来るかもしれない。王子製紙のことだ。

王子製紙は高機能材料事業に力を入れる(東京・江東)
王子製紙の篠田和久社長は5月19日に開いた経営説明会で、医療やエレクトロニクス分野などに使われる高機能材料事業に注力する方針を明らかにした。温暖化ガス削減のカギを握る1つが、この高機能材だ。
王子製紙がめざす高機能材とは、どんな製品だろうか。篠田社長は「紙とは全然、違ったものの場合もある」とし、一例として「コンデンサーに使われるフィルム」を挙げた。ほかにも経営説明会の資料には、ナノテクノロジーを活用した材料の例がいくつか載っている。幅が数ナノ(10億分の1)メートルの植物繊維を加工し、温度変化による伸縮が少なく成型もしやすい「ナノファイバーセルロース樹脂複合材」や、「ナノバックリング」という微細な凹凸構造を低コストで形成した材料などだ。
ナノファイバーセルロース樹脂複合材は有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレーの基板や発光ダイオード(LED)の封止材などの用途がある。ナノバックリングの材料は光が透過する際のロスを減らし、太陽電池の発電効率やLEDの光の取り出し効率を上げることができる。こうした素材を「何十件もやっていく」(篠田社長)という。
王子製紙の新事業・新製品開発センターによると、高機能材は生産工程で消費するエネルギー量が、製紙に比べて少ない。たとえばナノファイバーセルロース樹脂複合材は、製紙と同じようにいったんパルプを作る工程があるが、その先の繊維を解きほぐす工程や、繊維をシートにして樹脂を含ませるといった工程は製紙と異なる。
紙を抄(す)く工程をわかりやすくいえば、抄紙機を高速で運転して「水を多量に含んだ状態を、水のない状態に変える」(同センター)ことだ。乾燥させる過程で大量の熱が必要になる。ボイラーの燃焼などに燃料をたくさん消費し、多量の二酸化炭素(CO2)が発生する。これに比べれば高機能材の生産で使うエネルギーは少なくて済み、CO2の排出を抑えることができる。
王子製紙、高機能材料、ナノテクノロジー、エレクトロ・ルミネッセンス、事業構造改革、温暖化ガス、低炭素社会
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