重電機器メーカーが事業構造の転換を進めている。長年培ってきた技術をベースに電力会社だけでなく、新たな領域を切り開く取り組みだ。ターゲットのひとつは電気自動車(EV)。富士電機グループ、シンフォニアテクノロジーなどが急速充電器を投入するほか、充電器では先行していた高岳製作所は海外への関連部品供給に乗り出す。ただ海千山千の自動車業界。電力会社に盤石の関係を築いてきた重電メーカーは新市場に挑むにあたり、従来にない軽やかさが求められている。
「ゴーン・ショックだ」――。5月下旬、充電器メーカー各社の担当者は日産自動車の発表に衝撃を受けた。
「急速充電器を発売する。価格は147万円から」。既存の急速充電器の相場は1台あたり350万円程度。日産がこれを大幅に下回る価格を打ち出したことに、高岳製作所やハセテックなどの先行メーカーの担当者は戦々恐々としている。
日産は12月にEV「リーフ」を発売予定。そのため「EV普及を優先し、採算度外視で充電器を販売するのでは」(高岳製作所の鈴木広人営業部長)との危機感が強い。日産を呼び水に、6月以降、特色ある製品を引っさげて参入を表明する企業が相次いでいる。JFEエンジニアリングは“超”急速充電器を今年度中に発売する。一般的な急速充電器では30分で80%を充電するのに対して、3分で50%、5分で70%まで充電が可能という。
充電器の設置スペースに目を付けたのがシンフォニアテクノロジーだ。同社が10月に発売する充電器は電源本体と充電スタンドを分離し、狭い場所にも設置できるようにしたのが特徴だ。充電プラグや操作盤で構成するスタンドの設置面積は30センチ四方に抑えた。設置場所が限られる既存の駐車施設に売り込みをかける。充電の予約機能なども搭載し、待ち時間を減らせるように工夫する。武藤昌三社長は「後発だからこそ、使い勝手を高めるように煮詰めてきた」と話す。
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