台湾発のIT(情報技術)ブランドの旗手として右肩上がりの成長を続けてきたパソコンの宏碁(エイサー)と、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の宏達国際電子(HTC)がともに苦境に陥っている。中韓勢などとの競争激化が背景にありエイサーは一時、最終赤字にも陥った。台湾2社が世界ブランドとして生き残るためにはこれからが正念場だ。
今月7日。エイサーは昨年3月に同社の総経理兼最高経営責任者(CEO)を辞任したイタリア人のジャンフランコ・ランチ氏を、競合メーカーに就業することを制限する辞任時の契約に違反しているとしてミラノの裁判所に訴えた。
ランチ氏は中国のレノボ・グループ(聯想集団)の欧州担当責任者になることが決まっており、エイサーの狙いがレノボけん制にあるのは明らか。エイサーの焦りが改めて浮き彫りになった格好になった。
そのランチ氏はエイサーの欧州法人で頭角を表し、同社CEOまで上り詰めた人物。現地の代理店と密接な関係を築きながら製品を大量に押し込んでいく強気の商法で、エイサーが一時パソコン出荷で世界2位に浮上する原動力となった。
しかし、金融危機後のパソコン需要低迷と、米アップルの多機能携帯端末(タブレット)「iPad(アイパッド)」人気により市場構造が大きく変化するなか、強気のランチ商法はシェア拡大ではなく大量の不良在庫を生み出した。11年3月末にランチ氏が突然、辞任したのもこのためだ。
エイサーは11年4月以降、不良在庫の消化を最優先し出荷を大幅に削減。この結果、4~6月期には四半期ベースで16年ぶりの最終赤字に陥った。
エイサーの苦境と歩調を合わせるように急浮上したのがNECのパソコン事業を傘下に入れたレノボ。米調査会社IDCによると、11年10~12月のパソコン世界シェア(出荷ベース)はエイサーが4位に転落したのに対し、レノボは2位に浮上した。
右肩上がりの時期にこそ力を発揮するランチ氏の加入でレノボが欧州でも台頭すれば、欧州市場への依存率が高いエイサーにとって大きな打撃になりかねない。
エイサー、HTC、レノボ・グループ、アップル、グーグル、スマートフォン、サムスン電子
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