米アップルは9月1日、携帯音楽プレーヤー「iPod」3シリーズを全面刷新すると発表した。9月上旬以降に日米などで発売する。今回の新機種は、以前からうわさされていた機能がきちんと搭載されているものの、あまり大きな「サプライズ」はないように見える。携帯音楽プレーヤー市場で再び旋風を巻き起こすことができるだろうか。
shuffleとtouchのいいとこ取りをしたnano
3シリーズで最も仕様が変わったのは「iPod nano」だ。従来モデルの操作ホイールに代わって、対角1.54インチのタッチパネル液晶を搭載している。さらに「iPod shuffle」と同様のクリップ形状を採用し、袖やベルトに挟んで持ち歩けるようにした。
タッチパネルによる操作体系は「iPhone」「iPod touch」で培ったユーザーインターフェースに近く、使いやすい。音楽再生やFMラジオ、写真の再生のほか、ジョギングの走行データ管理などもできる。実際に操作してみると、タッチパネルを採用したことで曲目の検出などが以前より容易になった。
一方、iPod shuffleには操作ボタンが復活し、前のモデルに近いイメージに戻った。3シリーズを見渡すと、iPod nanoがtouchとshuffleのいいところをうまく取り込んだという印象が強い。
touchは予想通りビデオ通話を搭載
iPod touchの新機種は、今年6月に発売した「iPhone4」と同じく、高精細ディスプレーと高速処理チップ「A4」を搭載する。前面と背面にカメラを備え、マイク機能も内蔵する。それでも本体は従来モデルより薄い。
予想されていたことではあるが、これらのカメラやマイクを使ったビデオ通話サービス「FaceTime(フェースタイム)」がiPod touchの注目点の一つだ。アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)はiPhone4の発表時に「FaceTimeを今年中に数千万台のデバイスに搭載させていく」と発言していた。その宣言どおりiPod touchでも使えるようになるわけで、ユーザー層が一気に拡大する可能性もある。
ただし、携帯電話機能がないiPod touchは無線LANを経由してインターネットに接続する。iPhone4では電話番号を使って相手のFaceTimeへ発信するが、iPod touchは電話番号を持たない。そこでiPod touchでは相手のメールアドレスを使った発信の仕組みを採用した。この機能によりiPod touch同士だけでなく、iPhone4とiPod touchとの間でも通話ができる。
iPod touchは、米国などでは特に学生によく売れている。携帯電話機のiPhoneは毎月通話料を払う必要があるが、iPod touchなら維持費が安く済むからだ。「お金はないけれど友だちとおしゃべりしたい」という若年層のニーズは世界共通で、FaceTimeを搭載した今回の新機種は、そうした若年層に強く訴求しそうだ。
iTunesのSNS「Ping」のインパクト
アップルは、コンテンツ管理ソフト「iTunes」の機能強化も発表した。その柱となるのが「Ping」と呼ばれるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)だ。これはiTunesの画面上で、お気に入りのアーティストや友人をフォローできる機能。ミニブログの「Twitter」やSNSの「Facebook」を発展させて、音楽コンテンツを媒介として交流を深めてもらうというコンセプトになっている。
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