タブレット端末市場で一人勝ちを続ける米アップルの「iPad」。誰でも手軽に使えることから、法人向け端末としてのニーズも高い。
iPadは業種を問わず幅広い業界で業務端末として広がり始めている。その用途は、企業の情報システムと連携した本格的な業務目的から中小企業の接客用端末としての活用まで多岐にわたる。
■エミリオ・プッチは12店舗にiPad展開
ファッションブランド「エミリオ・プッチ」は2011年2月、iPadを15台購入。国内の全12店舗に配備し,残り3台は本社分と予備機とした。当初の狙いは各店舗への、速やかかつ効率的な資料の配布だった。
エミリオ・プッチは、商品情報を載せた分厚いカタログを年に4冊発行している。さらに店員向けのトレーニング用教本や、雑誌などのメディアで紹介された記事のクリップなども全店舗に配布する。これまで紙で配っていた資料をペーパーレス化する目的でiPadの導入を決めた。
これまで紙で配っていた資料はスキャンしてPDF形式に変換した後、各店舗のiPadに配信する。iPadは、画像を拡大表示するとアイテムの素材感を確認しやすい点がメリットだった。
導入にあたって気を配ったのはコストとセキュリティーだった。コストを抑えるため、専用アプリケーションを開発せずに、iPadで無料で使える書籍ビューワー「iBook」を活用した。通信費を抑えるには、無線LAN接続を利用するところだが、店舗によっては無線LANのアクセスポイントの設置が難しく、セキュリティーポリシーからも抵抗感があった。そこでメールなどを使ってパソコンにデータを送り、パソコン向けの音楽配信ソフト「iTunes(アイチューンズ)」を経由して資料をiPadに送る方式を採用。コストをかけずにセキュリティー確保も可能にした。
導入したiPadからは、業務に使う以外のアイコンはすべて削除した。アプリは商品イメージを表示する「写真」と「ビデオ」、書類を閲覧する「iBook」しか入っていない。端末に施したカスタマイズは、ホーム画面を専用のものにアレンジし、スクリーンを保護するためのシールを貼り付けた程度だ。
検討開始から実用化まではわずか半年。10年8月に利用目的を明確化し、10月にはミラノ本社でデモを実施。11月に具体的な運用方法を検討し、11年2月上旬には端末の配備を終え、2月下旬に店長向けセミナーを開催するというスケジュールだった。
iPad、iPhone、iBook、iTunes、FileMaker
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