スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の全盛時代を迎え、日本の携帯電話会社が試練に立たされている。パソコンに匹敵する機能を備えたスマホは常時接続が前提で、従来の携帯電話に比べて10倍もの通信量が発生する。
NTTドコモでは1月25日午前、都内の一部エリアで音声・パケット通信とも利用しづらくなるなど252万人を巻き込む大規模なネットワーク障害が発生。総務省は2011年度にNTTドコモが起こした5件の事故を挙げ、設備増強など改善策を講じるよう指導した。日本のIT(情報技術)業界にとって、スマホはハード、ソフト、通信サービスを含め急成長が期待される新市場。しかし、ドコモの障害に代表される脆弱なインフラが、本格的なスマホ時代に向けての大きな課題として浮上している。
■「鳴り物入りで入れた交換機」のはずが…
NTTドコモで度重なる通信障害の最大の原因は「急増するスマホユーザーの存在」にある。実はドコモでは急激に増えるスマホユーザーに対応する目的で、1月20日から新型パケット交換機への切り替えを都内の一部エリアで進めていた。
その一環で新型パケット交換が処理するエリアを拡大したのが1月25日未明。ところがその日の8時26分ころ「輻輳(ふくそう)」と呼ばれるネットワークの混雑が発生した。さらにネットワークの自動規制により、パケットにとどまらず音声サービスまでが一部の地域で利用しづらくなる。10時56分ころから従来のパケット交換機に戻したことで混雑解消に向かい、13時8分にようやく回復した。
NTTドコモでは、スマホユーザーの増大に対し「同時接続数」を重視したネットワーク構成を構築していた。iモードではユーザーはウェブ閲覧やアプリを使っているときだけネットにつながり、使わないときはネットから切断された状態になる。しかしスマホは常にネットワークに接続した状態。このためiモード機に適したパケット交換機から、スマホの常時接続に耐えられる新型パケット交換機に切り替えを進めていた。ドコモとしては「鳴り物入りで入れた交換機」(岩崎文夫取締役常務執行役員)であり、スマホ時代にマッチした最新の技術を投入したはずだった。
だが、ここに大きな落とし穴があった。
昨今、スマホユーザーには無料通話を楽しめる「VoIP」やチャットができるコミュニケーション系アプリが人気となっている。これらのアプリは、ユーザーが使用していないときも「制御信号」を断続的にやり取りし、端末がデータを送受信し続ける。ドコモのスマホのほとんどが採用している「AndroidOS」は、それだけなら制御信号を28分に1回発生させるだけで済むが、コミュニケーション系のアプリは3~5分に1回の割合で通信を発生させる。
スマートフォン、Android、iPhone、トラフィック
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