ゲーミフィケーションという単語が、日本でも流行ワードとして知られるようになりつつある。この言葉は、ゲームに多くの人を熱中させるような要素を、実際の社会などに応用する考え方や方法論のことを指す。
この考え方が多くの人に知られるようなきっかけをつくった女性ゲームデザイナー、ジェイン・マクゴニガル氏の「幸せな未来は『ゲーム』が創る」(早川書房)の翻訳版が発売された。米国でも、2月に出版されたばかりで、賛否両論を含めて大きな話題になっている。書かれている内容は、紹介されている事例も含め、極めて刺激的だ。世界中の人々は、もっとゲームをするべきであり、そのゲームの内容を現実世界とつなぎ合わせるようにデザインすることで、ゲームを通して日常生活から未来まで、世界をよりよく変えていける、と論じている。
■ゲームを現実問題の解決に
この本の原題は「REALITY IS BROKEN(現実は壊れている)」という表題だ(文中では、「現実は不完全だ」と訳されている)。膨大な量の時間を費やしているゲーマーが全世界で増えつつあり、それらのゲーマーはさらにゲームに熱中するようになっている。それらのゲーマーは、ゲームに熱中することで、「現実世界には何かが欠落していると感じている」と指摘する。
ゲームの中では、ゲーマーは明瞭な目標が存在し、それに対する目的意識や仲間意識も持ち、高い動機付けを持続できる。しかし、現実世界にはそれがないのだ。そのため、全世界で熱狂的なゲーマーが増え続けている。アメリカだけでも一週間に13時間以上遊ぶゲーマーが1億3000万人いて、さらに仕事と変わらないほどの週平均45時間遊ぶ熱狂的なゲーマーが500万人もいる。今では、地球上で週に30億時間以上がゲームに費やされている。
これをマクゴニガル氏は「何か重要なことの兆し」ととらえる。「ゲームは現実世界が満たせないでいる人類の真のニーズを満たしているのです。ゲームは現実がもたらさない報酬を人々に提供し、現実ができない形で教え、示唆を与え、夢中にさせ、協力へと導いているのです」(P.18)
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