世界中で7億5000万人の利用者を抱えるFacebookのような巨大SNS(交流サイト)の登場で、ゲームはかつての高価な「ソフトウエア製品」から、極めて低価格か無料の「サービス」へと変貌しつつある。ゲームのサービス化は、ソフト開発会社だけでなく、ハードメーカーや小売りを巻き込んだ業界秩序の創造的破壊を促している。
「“ソーシャルゲーム1.0戦争”はZynga(ジンガ)の勝利によって第1ラウンドの幕を閉じた」――。米シアトル(ワシントン州)で開催されたゲームイベントのCasualConnect(7月19日~21日)で、米ベンチャーキャピタル、NorwestVenturePartners(NVP)のティム・チャン氏はこう断言した。Zyngaは口コミを使ってFacebook上でゲームユーザーをひき付け、利用者を増やし続けている。「コンテンツが王様なら、(ソーシャルを使った)流通パワーは神のような全能の力を生み出す」。チャン氏はこうも語っている。
2億5000万人のユーザー数を誇るZyngaは他社を圧倒した存在となった。口コミのマーケティングを利用するだけで、新作ゲームを投入するたびに新たなブームを巻き起こしている。
代表例がZyngaの人気ゲーム「CityVille」だ。一回のプレー時間、約30分あまりの間に、実に30回以上も他のユーザーに「(このゲームについて)お知らせしますか」という口コミの情報発信を促す表示が現れる。「お知らせ」をすると何らかのアイテムがもらえるような巧みな仕組みが用意されているのだ。それが毎日何十億回と繰り替えされることで、同社はゲームの品質を保ちつつ一定のヒットを引き起こす循環を維持している。
こうした強力なプレーヤーが出現した市場環境において、次のソーシャルゲームのチャンスはどこに眠っているだろうか。
■ベテランオンラインゲーム開発者の転身
チャン氏はゲーム開発の高い能力を持った人材を獲得することの難しさを指摘していた。ソーシャルゲームの開発競争が激しくなったことで、すでに小さなサイズのゲームでも、大規模なRPG(ロール・プレイング・ゲーム)を開発するのと労力や人材、予算規模は変わらなくなっている。「ソーシャル向けだから小さくて簡単なゲームでいい」という考えでは、もうユーザーは集まらない。
しかも単発の商品ではなく継続的なサービスとして展開しなければならない。オンラインゲームのデザイン手法や開発ノウハウは独特で、その分野に精通したベテランはそれほど多くない。そのため人材の奪い合いと人件費の高騰が進んでいる。日本の開発者の給与水準の1.5倍から2倍以上というのが基本的な相場だ。そのため、
「海外の安いスタジオを使ったり、買収したり、パートナー関係を構築したりする必要性が増している」(チャン氏)
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