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ヨウ素補給にうがい薬や昆布が不適な理由

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2011/3/18 18:58
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 「うがい薬」に含まれるポビドンヨードは、経口摂取(飲み込むこと)は認められていません。そもそも37%程度のアルコールを含んでいますし、添加物が消化管を荒らす可能性もあります。さらに有効量を取るには、14.3mLも服用する必要がありって現実的ではないので、不適切とされています。

 「ヨードチンキ」にも、エタノールが70%以上含まれていて、小児の服用には適しません。しかも、単体のヨウ素(I2)が含まれるため、消化管を荒らすなどいろいろな悪影響が考えられるので、避けるべきだとされています。

 「消毒用イソジン」も、ポビドンヨードやマクロゴールを含むことから適さないとされています。

 「ルゴール液」には、フェノールが含まれるので、不適当です。

 「コンブ」にはヨウ素が多く含まれているため、予防に有効なのではないかとする意見もありますが、成人での有効量を摂取するには、産地にもよるようですが、乾燥コンブを50g程度を摂取する必要があり、現実的ではありません。ましてや、本当に必要な小児には適さないでしょう。

■放射性セシウム(137-Cs)の危険性と排泄促進剤

 セシウムは癌治療のガンマ線源として重要なものですが、被曝の程度がひどいと致命的となります。半減期が8日間のヨウ素と比して、セシウムは半減期が30年と非常に長いため、摂取してしまうと人体への影響も大きくなります。

 こちらは、体内への取り込みを防御するための薬剤はありませんが、排泄を促進する薬剤はあります。2010年12月に発売されたばかりの、放射性セシウム体内除去剤であるラディオガルダーゼ〔一般名:ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物〕です。

 高校の化学で習ったことを思い出す方も多いでしょう。青色の色素でもあります。イオン交換および結晶構造内への吸着の原理でセシウムと結合し、腸管からの再吸収を妨げることによってセシウムを体外に排泄(せつ)します。そうした薬ですので、ラディオガルダーゼを服用した患者の排泄物には、放射性物質(放射性セシウム)が多く含まれることになります。

 製造元の日本メジフィジックスは、本剤をドイツから緊急輸入し、福島に送ることになっています(2011年3月14日時点の情報)。

 酸化還元型のイオン交換能を利用し、放牧飼育される家畜(牛など)の飼料に加えると、乳や肉の汚染を抑えることができるので、チェルノブイリ原発事故の後、土壌処理が困難な牧草地で家畜に投与されました。この薬剤は、原発近くの人しか用いることはないでしょう。

■放射性ストロンチウム(89-Sr、90-Sr)の危険性

 ストロンチウムにも健康被害のリスクがあるとされていますが、摂取の防御も排泄促進も難しいようです。90-Srに関する情報はあまり得られませんでした。89-Srは医薬品として存在し、骨転移による疼痛緩和に用いられますが、骨髄抑制の副作用があります。放射性でないものは、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)薬として開発されています。

【参考資料】
『安定ヨウ素剤取扱いマニュアル』財団法人原子力安全研究協会(2003)
医学のあゆみ 2009;234(4):306-310
日衛誌 2008;63:724-734
臨床と研究 1997;74(7)
日本集団災害医学雑誌 2001;6:100-104
ラディオガルダーゼ 添付文書、インタビューフォーム
メタストロン 添付文書、インタビューフォーム

[日経メディカル オンライン 2011年3月17日掲載]

笹嶋勝(ささじま・まさる)
 大学病院でDI(医薬品情報管理)業務の責任者として8年間勤務した後、現在は、薬局チェーン「日本メディカルシステム(東京都中央区)」の学術部門長として勤務。東京薬科大学薬学部客員教授。(注:本記事は「日経DIオンライン」の連載「笹嶋勝の『クスリの鉄則』」を転載したものです)

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