原子力ルネサンス――。1979年の米国スリーマイル島、1986年の旧ソ連チェルノブイリという深刻な原子力発電所事故の影響で、欧米では新規建設が長い間止まっていたが、環境問題に伴う二酸化炭素(CO2)の排出抑制の動きや原油価格の高騰、新興国のエネルギ需要の増大などを背景に、一転して原発に強い追い風が吹き始めた。
古くなった原発の更新時期に差し掛かっているのに加え、先進国のみならず新興国でも電力需要の増大に対応するため世界中で原発の新規建設が計画されている。まさしく、原子力の復興である。
日本でも、2010年6月に経済産業省が立案した「エネルギー計画基本法(案)」で原発を「供給安定性・環境適合性・経済効率性を同時に満たす基幹エネルギー」と位置付け、積極的な推進を表明。2020年までに9基、2030年までには少なくとも14基以上の新増設を目指すとしている。
こうした需要増大の商機をとらえて、日本メーカーが世界市場に打って出る。かつての冬の時代、日本では少ないながら建設が続き、日本メーカーは技術開発を続けてきた。炉の運用でノウハウも積んできた。今や、日本の技術力は世界最高レベルといわれている。これこそが最大の武器だ。
プラント全体を手掛ける重工メーカーは、原子炉の基本設計からプラント建設、保守などで培った技術力とノウハウの総合力で勝負する。コンポーネントを提供する機器メーカーも、オンリーワンの技術を武器に、旺盛な需要に対応してさらに顧客を拡大しようとしている。
「総合力」で攻める重工メーカー
原発プラント全体の設計から請け負うメーカーは近年再編が進み、日本勢が世界市場で大きな地位を占めるようになってきた。その先駆けとなったのが、2006年の東芝による米Westinghouse Electric社(WEC)の買収である。東芝は、沸騰水型原子炉(BWR)を手掛けていたが、WECの買収によって、加圧水型原子炉(PWR)の技術も手中にした(下記の別掲記事を参照)。
シンプルなBWR、保守安全性が高いPWR
沸騰水型原子炉(BWR、Boiling Water Reactor)は、核分裂で発生した熱で冷却水を加熱し、炉の中で発生した蒸気を直接蒸気タービンに送って発電機を回し発電する。一方、加圧水型原子炉(PWR、Pressurized Water Reactor)は、圧力容器内を冷却水が沸騰しないよう加圧している。熱せられた加圧水は蒸気発生器に送られ(1次系)、そこで熱交換されて作られた蒸気(2次系)がタービンおよび発電機を回す。1次系と2次系が分かれているので、タービンなどが放射能で汚染されない。
BWRは放射能を帯びた蒸気でタービンを回すので、タービンやその建屋なども遮蔽(しゃへい)しなくてはならず、設備が大型になるが、仕組みが簡単で保守が比較的容易という利点がある。PWRは蒸気発生器とタービンを循環する水や蒸気が汚染されないので、BWRに比べて遮蔽領域が狭くて済む。ただし、構造が複雑になる。
日本と米国ではBWRとPWRの両方が導入されているが、世界ではPWRが主流となっている。全世界で見ると稼働中の炉の7割以上はPWRである。
General Electric、PWR、WEC、BWR、三菱重工業、日立製作所、東芝、原子力発電所
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