米国ニューメキシコ州における日米共同のスマートグリッド実証プロジェクト「New Mexico Green Grid Initiative」に対し、米国側は日本側とは違った方向性の期待を持っていることが、米国の現地取材で分かった。
日本側の狙いは、スマートグリッドの“脱ガラパゴス化”である。今回のプロジェクトは、経済産業省の肝いりで始まったもの。これを足掛かりに、米オバマ政権が進める環境政策の一角に食い込み、さらには世界市場へと乗り出したいという日本政府の意図が透けて見える。これに対して米国側は、現地経済の活性化や雇用創出など、今回のプロジェクトを通じて継続的な経済波及効果を起こすことを強く期待している。この「同床異夢」をどう解決していくかが、同プロジェクトの1つの課題となりそうだ。以下で詳しく状況を解説していこう。
地区全体で環境を配慮した作りに
このプロジェクトは、同州のアルバカーキ市とロスアラモス郡でそれぞれ実施される。このうちアルバカーキ市のプロジェクトの中心地区「Mesa del Sol(メサデルソル)」では、既にデベロッパー企業の米Forest City Covington社が環境に配慮した新しいコミュニティの開発を始めていて、事業エリアと居住エリアが混在した構成になっている。
メサデルソルの建築物は原則として、米国グリーンビルディング協会(USGBC:U.S. Green Building Council)が定める環境性能基準である「LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)」認証や、米エネルギー省(DOE)と環境保護庁(EPA)による省エネルギー製品の共同プログラム「Energy Star」規格に準拠することが求められる。今回のプロジェクトで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が参加してマイクログリッドの実証試験を行うタウンセンタービルもLEED-Silver認証を取得しており、太陽光発電システムを備える(図1)。
居住エリアにおける一般住宅の建築はこれからだが、事業エリアにはタウンセンタービル以外にも地元で太陽電池の研究開発を行う米Advent Solar社やドイツの太陽電池メーカーの独Schott Solar社、金融サービス業の米Fidelity Investments社などが既に事業所を開設している。Forest City Covington社が策定したマスタープランでは、最新技術による集光型太陽光発電プラントや水再処理プラントも計画されている。現在ではまだ空き地が多いものの、今後このエリアではスマートグリッドの導入とともに上述のような“スマート化”が進んだビルや家の建築が進むとみられる。
一方のロスアラモス郡では、電力事業者の配電系統(以下、系統)との連携を考慮したマイクログリッドの実証などを行う。東芝が実証サイトの取りまとめと、系統EMS(energy management system)、電力需要と太陽光発電量の予測、電力のリアルタイム料金設定といった各種の要素技術を担当している。同社は米国の機器向け安全規格「UL」を取得したスマートメーターも既に開発済みで(図2)、NEDOが建築するスマートハウス「NEDOハウス」や一般住宅100世帯に設置する予定である。
太陽光発電、スマートグリッド、NEDO、Intel、DOE、プロジェクト、東芝
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