「信号待ちでエンジンが止まる自動車」「見ていないと画面が消えるテレビ」――。省エネルギ(省エネ)を前面に打ち出した製品が売れている。とりわけ人気なのは,省エネであることが直感的に分かる機能を備えた製品だ。小難しい理屈など考えなくても,誰もが省エネ効果を実感できる。これが販売面での成功につながっている(図1)。

図1 省エネ効果を気軽に実感 分かりやすい省エネ機能を持つ製品が,消費者の支持を集めている。(イラスト:モリナガカツトシ)
高い方が売れている現実
例えば,マツダが2009年6月に発売した新型「アクセラ」。主力は,エンジン排気量が1.5Lと2.0Lの二つのグレードで,前者は166万円から,後者は189万円からという価格設定である(共に税込み)。普通なら安い方が売れそうだが,実は価格が20万円以上も高い2.0Lグレードの方が売れているという。発売直後から現在まで,販売台数の比率は1.5Lの比率が4割強なのに対し,2.0Lは約5割に達する。
2.0Lグレードが売れている理由は明白だ。1.5Lグレードにはない,自動アイドリング・ストップ機能が付与されているからである。信号待ちなどの一時停止時におけるエンジンの停止・再始動操作を自動で行い,ガソリンの消費を抑える。
マツダはこの機能を「i-stop」機構で実現し,新型アクセラに初めて搭載した。これにより「燃費が約10%改善した」(同社プログラム開発推進本部主査の猿渡健一郎氏)。「停止中にガソリンを使わないから省エネ」と直感的に分かり,しかも停止中はエンジンの音や振動がなくなることで機能を実感できる。この二つの要素が消費者の固い財布のひもを緩めた。
つけっ放しを追放
従来,何を置いても画質の良さがポイントだったテレビでも,消費者の見方が変化してきている。調査会社のBCN(本社東京)によれば,40インチ型以上の液晶テレビの中で,2009年(集計期間は同年1月1日~12月23日)に最も売れたのは,ソニーの「BRAVIA V5」シリーズの「KDL-40V5」だった。
同シリーズには,ユニークな省エネ機能が盛り込まれている。人が席を立ったりうたた寝をしたりしてテレビを見ていないと判断すると自動的に画面を消し,音声だけにする。そして,戻ってきたり起きたりしたら再び映像を流す。「誰も見ていないのにテレビをつけっ放しにしていた」という経験は誰にでもあるはず。そのムダを自動的になくしてくれることをはっきりと体感できるのが,この液晶テレビの最大の特徴だ。
「魅せ」ないと売れない
単にカタログ上で省エネ性能が優れているだけでなく,省エネ効果を実感できるところまで仕上げた製品を求め始めた消費者――。こうした消費者に製品を選んでもらうには,「魅せる省エネ」が欠かせない。ここで「魅せる」とは,外観の美しさで引き付けることではない。省エネを実現した上で、その機能を「縁の下の力持ち」として控えめに搭載するのではなく,ユーザーがきちんと実感できるように積極的に提示することだ。
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