太陽電池や燃料電池といった「小さな発電所」を備えた住宅が増えている。つくった電力を自宅で消費することで、電力会社などから購入するエネルギー量を減らせる点がウケている。
こうした動きの先を見据えてか、このところ住宅メーカーが開発に力を入れ始めたのが蓄電池を装備する住宅である。発電した電力を自宅に装備した蓄電池にためておくことで、エネルギーを自給できる住宅の開発である。
例えば大和ハウス工業は2010年6月23日、2020年度をメドに「エネルギー自給住宅」を商品化すると発表した。住宅内で消費するエネルギーを100%自給できるというコンセプトである。同社は、そこに向かうステップの第1弾として、リチウム(Li)イオン2次電池を装備する住宅「SMA×EcoHOUSE(スマ・エコハウス)」の開発に着手した(図1)。7月10日から、実証実験を埼玉と愛知の2カ所の住宅展示場で実施し、来春には商品化したいという。
パナソニックやトヨタホームも、蓄電システムを採用した住宅の実用化を2011年中に目指すと表明している。伊藤忠商事グループの伊藤忠都市開発は、2010年1月に販売を開始したマンション「クレヴィア二子玉川」に出力10kWの太陽電池を搭載すると共に、蓄電システムを装備した。
ここに来て住宅メーカー各社が相次いで蓄電池を装備する住宅やマンションを発表してきた背景には、政府が打ち出した二つの目標と、それを基にした各種の施策がある。
「ZEH」が標準に
一つは、前鳩山政権が打ち出した「温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する」という目標である。この目標を達成するには、国内のエネルギー消費の約3割を占める民生部門で大幅な省エネを実施しなければならない。
そこで経済産業省は、この6月に発表した「エネルギー基本計画」で、2020年までに「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を標準的な新築住宅にすることを掲げた。ここで「ネット・ゼロ」とは、太陽電池などでつくった余剰電力を電力会社などに売る量と、悪天候時や夜間などに電力会社から買う電力量がほぼ等しくなり、外部から購入するエネルギー量が事実上ゼロになることを指している。
差し引きゼロになるということは、住宅にもし大容量の蓄電池が備わっていれば、そこに充電したり放電したりすることで完全な自給自足が狙えるということ。各住宅メーカーは、これを見据えているのである。
政府が打ち出したもう一つの目標は、2009年8月に当時の麻生政権が決めた、太陽光発電の導入目標である。2020年に当時の約20倍に当たる約2800万kW、2030年には同約30倍の約5300万kWという数字を設定した。この目標は、基本的な方向としては民主党の現政権にも引き継がれている。
この目標に近づくための政策として、太陽電池の導入では国レベル(1kW当たり7万円)、地方自治体レベル(東京都の場合1kW当たり10万円)で各種の補助金が支給されている。加えて2009年11月からは、太陽光で発電した電気の余剰分を電力会社が従来の約2倍の価格である1kWh当たり48円で買い取る余剰電力固定買取制度がスタートした。こうした手厚い施策により、住宅向けの太陽電池需要が立ち上がり始めている。例えば太陽光発電協会がこの6月に発表した出荷統計によると、2010年の1~3月期の国内出荷は、発電能力ベースで21万2435kWとなり、前年同期比で約3倍という高い伸び率となった。
逆潮流問題、解決のカギに
ただし、このまま太陽電池の導入量が増えていくと、太陽光の当たり方によって発電量が大きく変動する電力が大量に既存の電力網に流れ込み始める(逆潮流)。そうなると電力網の電圧や周波数の変動が起こり、コンセントにつないだ機器が正常に動作しなかったり、事故の原因になったりする可能性もある。
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