11月15日から3日間、米サンタクララで企業情報システムの会議「Enterprise 2.0(エンタープライズ2.0)」が開催された。今年の目玉は、次世代企業コミュニケーションの覇権争いだ。米IBMや米マイクロソフトが、電子メールを中心に企業内コミュニケーションを統合する「ユニファイド・コミュニケーション(UC)」を売り込もうとする一方で、会場では「電子メールが増えすぎる」「メールは遅くて困る」といった言葉が飛び交うなど、UC離れの動きも目立っていた。そうした動きを読み取ったのか、UCの代表的製品であるマイクロソフトの「SharePoint(シェアポイント)」が“ソーシャル・コンピューティング・プラットフォーム”への変身を声高に唱える場面もあった。では、次世代企業コミュニケーションの覇権は、誰に移ろうとしているのだろうか。
■「電子メールは自動化アプリを受け付けない」
「電子メールについている『CC』って知っている? あれはカーボンコピー(カーボン紙を使った文書の複写)の略なの。サブジェクトも昔の名残ね。メールを開くのは、誰から来るかで決める人がほとんどなので、サブジェクトなんて要らないのよ」と電子メールに厳しい言葉を浴びせたのは、米フェイスブックのモバイル部門マネジャーのモリー・グラハム氏だ。
グラハム氏は、電子メールは手紙を電子的に置き換えただけのもので、生産性が低く「多くの点で問題がある」と指摘する。しかも1対1の対話が基本で、多くの人に同時に伝えたり(1対多)、多くの人が同時にコミュニケーションすること(多対多)は不得意だ。
さらに、最近の若い人は「電子メールだと遅すぎて仕事にならない」と文句を言う。SNSなら相手が居ればリアルタイムで、居なければ自動的にメッセージを残せるが、電子メールは相手が居るか居ないかや、いつ返事が来るかが分からないので不便だと感じる。
電子メールはほかのアプリケーションとの融合も難しい。グラハム氏はフェイスブックが世界最大の写真共有サイトになっていることを説明したあと、その理由は加入者が多いだけでなく「アップした写真に誰が写っているかを認識し、知らせてあげる(タグ付け)機能」があるからだと指摘する。写真はただ保管するだけではダメで周りの人に見せて価値があるもので、タグ付け機能はそれを自動化しているからみんなが使うという。「ところが電子メールは、こうした自動化アプリケーションを受け付けない」(グラハム氏)。
こうした電子メールへの批判は、そのまま企業電話システムにも当てはまる。
交友関係を深めるために生まれたフェイスブックは、コミュニケーション手法を深く追求してきた。登録メンバーはコメントや写真、ビデオやリンクなど様々な情報をフェイスブックに投げ込む。同社はその情報を分析し、写真であればタグ付けを、ビデオであればアイコンを作成するなど、最適なコミュニケーション環境を提供する。ユーザーの望むコミュニケーションを素早く実現することが同社の競争力であり「それがフェイスブックのDNAなのよ」とグラハム氏は解説する。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス、マイクロソフト、電子メール、フェイスブック
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