社内でソーシャルメディアに詳しい人材を発掘して担当者に任命すれば終わり――とはいかないのが大企業だ。企業がソーシャルメディアをマーケティングなどに活用する際は、組織に潜む構造を無視して人だけを動かすと失敗に終わることが多い。情報管理や部署の壁が課題になる。担当者の力を引き出し効果を最大限発揮するには、組織内の管理・責任体制を明確にすることが必要だ。
ソーシャルメディアは、情報発信だけでなくインタラクティブなコミュニケーションが求められるため、情報漏えいや不適切な回答で問題が起きるリスクが常にある。最近はユーザーの意識も高まっており何かあればダメージが大きい。そのためセキュリティー基準を厳しく設定し、社内のパソコンからブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、動画サイトへの書き込みだけでなく閲覧すら禁止している企業もある。だが、それでソーシャルメディアに取り組むのは無謀というものだ。まず、社員と情報の関係を見直す必要がある。
企業と社員の認識にズレ
セキュリティー企業のクリアスウィフト(東京・港)が4月21日に発表した「従業員のWebと電子メール利用の実態報告書2010」によると、従業員はウェブのビジネス面での効果を認め積極活用しようとする一方、企業は従業員に対して活用を制限する傾向が強いという。アンケート結果では、ビジネス面で効果があるとの回答は、「ブログ、チャット、掲示板」が31%、「コミュニティー型SNS」が24%、「動画・写真共有サイト」が27%。従業員はウェブを活用しビジネス面でも効果があると感じているが、「従業員のウェブ利用状況を監視している」という企業が36%あると回答している。
情報漏えい防止や業務への集中のために無関係なウェブサイトへのアクセスを禁止するのは理解できるが、実際はスマートフォンの普及などで、いつでもウェブにアクセスできる環境はますます広がっている。全面禁止にするのは楽だが、ソーシャルメディアを扱うためには、情報に対する取り組み方や意識、倫理といったリテラシー向上が不可欠だ。ビジネススキル全体の向上につなげるチャンスと捉えてはどうだろう。
そのためには、ソーシャルメディアの利用ガイドラインを策定するのも一つの方法だ。gooリサーチが8月5日に発表した『「企業におけるTwitter活用状況」に関する調査結果』によると、ソーシャルメディアに関する運用ガイドラインの制定状況は61%が「なし」となっている。だが、1000人以上の企業では「すべきことや禁止事項は文書化されている」との回答が41.7%、「連絡体制を含めたマニュアルがある」が36.7%あり、大企業ほど整備が進んでいる様子がうかがえる。
ただ、マニュアルや文書を整えたところで、本質的な問題が解決していないこともある。企業には形骸化したルールはいくつもあるが、ソーシャルメディアで外側とコミュニケーションするには、そのルールが機能しなければならない。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス、ソーシャルメディア、Twitter、スマートフォン、電子メール
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