東日本大震災を契機に、地震などの自然災害や大規模停電に強い次世代型住宅の研究開発が活発になっている。日産自動車やNEC、ベンチャー企業など災害対応に必要な要素技術を持つ13社が連携、非常時でも数日間は快適な生活を維持できる住宅が2012年春にも発売される。キーワードは「オフグリッド」。電力、ガス、水道、通信といった既存のライフラインの供給網(グリッド)に頼らず、自立して人が暮らせる新たな住まいづくりを目指している。
13社が取り組んでいるプロジェクトの名称は「ミライニホン」。参加社間の調整やマーケティング調査を担うのはTBWA博報堂(東京・港)と技術商社のナインシグマ・ジャパン(東京・千代田)だ。各社が持つ有望技術やノウハウを持ち寄る「オープンイノベーション」の方式で次世代住宅の実用化を進めている。
「オフグリッド」とは、「グリッド(網、格子)」から「オフ(離れた)」という意味。都市部では、生活に欠かせない電力や水などは敷設された配電網や水道管などネットワーク型の基盤を経由して家庭に供給されている。だが、災害など有事の際、電力網などは寸断される可能性が高い。こうした供給網に頼らなくても生活できるようにしようというのが新型住宅の開発コンセプトだ。少なくとも数日間は住宅ごとにエネルギーや水をまかなえる「自立・分散型」の住宅の開発を急ぐ。
新型住宅は普段でも高い省エネルギー性能を満たす必要がある。「省エネ住宅」「エコハウス」と呼ばれる住宅は、これまでも開発競争が繰り広げられてきたが、東日本大震災を受けて災害への対応力が新たな重要テーマに浮上した。どんな時でも安定した生活品質を維持できるいわば「万能住宅」といえる。TBWA博報堂の高松充・執行役員は「大震災が商品化に向けた動きを大きく後押しした」と話す。
■モンゴルの移動式住宅「ゲル」にヒント
カナダのトロント郊外。湖の真ん中の島に一軒の別荘が建っている。電気やガスは通っておらず、ランプの光もないがそれでも住人は快適な暮らしを満喫している。ところ変わってモンゴルの草原。「ゲル」と呼ばれる移動式の家の屋根には、太陽光パネル、風力発電装置とパラボラアンテナが設置され、住人がテレビで相撲番組を楽しむ――。国内13社が目指す「オフグリッド住宅」のヒントになったのは、こうしたタイプの住宅だ。
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