2005年、すい臓がん克服後のスティーブ・ジョブズは米スタンフォード大学の卒業生を送るスピーチを行う。自らの半生から人生訓を述べたこのスピーチは世界に大きな感動を与え、日本の高校の教科書にも採用された。
2010年、このスピーチでやり直したいことを聞かれたジョブズは「声高にもう一度繰り返したい。この数年で命はもろいと改めて知ったから」と語った。
ジョブズが遺した「言葉」とその真意を解説する本連載の最終回は、3つのストーリーからなるスピーチから4つの言葉を選んだ。
『ハングリーであれ、バカであれ。』
Stay Hungry. Stay Foolish.
この講演で最も有名なこのセリフは、ジョブズ自身が考えた言葉ではなく、彼が青春時代のバイブルとしていた「ホールアースカタログ(Whole Earth Catalog)」(1968年にスチュワート・ブランドが創刊したテクノロジー文化誌)の最終号の表紙に書かれていた言葉だ。ジョブズが、ちょうど卒業生たちと同い年くらいの頃に目にした言葉だと言う。クレイジーに、とてつもなくすごい作品を作り続けてきたジョブズだが、その驚異の実現力を支えたのは、彼のハングリーさから来る熱意と「仕事バカ」と言えそうな執着心の賜物だろう。ジョブズは講演の最後、「自分自身、この言葉の通りでいたいと思った。そして今、卒業し新たなスタートを切る皆さんにも、そうあってほしいと望む」と言って締めくくった。
『だから、点がいずれどうにかしてつながると信じなければならない。』
So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
講演は「点と点をつなぐ」「愛と喪失」「死」の3パートからなっていた。最初のパートは、物事を信じて行動するのが重要という話だ。ジョブズは大学中退後、それが何の役に立つとも考えず、大事だと思ったから英習字の勉強をした。その経験がやがてMacを作る時に大いに役立った。こうした点と点の結びつきは、計画して起こせるものではなく、振り返ってみて初めて分かるもの。だから、いずれつながるはずだと、何かを信じてとにかく行動してみる必要がある。「このやり方をしてガッカリしたことはなかった。それどころか私の人生をまったく別物にしてくれたと思う」とジョブズは言う。
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