位置情報方式と並ぶモバイルAR(Augmented Reality、拡張現実)のもう一つの技術が、画像認識方式だ。携帯電話のカメラがとらえた画像を認識して、そこにリアルタイムでコンピューターグラフィックス(CG)を合成したり動画や音声を流したりする。コンピューターで短時間に認識できるように「マーカー」と呼ぶ専用の目印を使うのがこれまでの主流だが、このマーカーの常識を打ち破る手法も登場しはじめた。
音楽CDがARアプリ起動の鍵になる
机の上にあるのは、オーストラリアのロックバンドAC/DCの音楽CD「Iron Man 2」のジャケット。これをソニー・エリクソンのスマートフォン「Xperia」の内蔵カメラで見ていると、突然ロックミュージックがスピーカーから流れ出す。ディスプレーには、ギターを弾くミュージシャンのCGがCDジャケットの上に重なって表示されている。足元には、イベント予定のページや関連グッズを販売するECサイトへのリンク。画面上のリンクをタッチすると、それぞれのサイトにジャンプする――。
ドイツのメタイオは、同社のモバイルARプラットフォーム「junaio」を使い、こんなアプリケーションを開発した。市販の音楽CDジャケットの画像イメージを認識して、カメラからのリアルタイム映像に重ねてCGを表示している。
マーカーを認識し、その上に表現するのが基本
全地球測位システム(GPS)などの位置情報を使うモバイルARでは、センサーの精度に依存するためユーザーの位置を数メートルの範囲でしか特定できない。このため、位置情報方式のARアプリはこの数メートルの誤差を前提に、ナビゲーションなどのサービスを提供している。
これに対して、商品の上など数センチ程度の精度で視覚的効果を与えたい場合は、主に画像認識方式のAR技術が使われる。この方式で用いられるのがマーカーだ。特殊な図形を紙などに印刷したマーカーが従来の主流で、図形の位置や向き、サイズをカメラで読み取り、その情報を基にCGなどを表示する。
第1回で触れたコナミデジタルエンタテインメントのARアプリ「ラブプラスiM/iR/iN」も、専用のマーカーを「iPhone」で認識し、3Dのキャラクターをユーザーが希望する場所の映像に重ねて呼び出す。こうしたマーカー技術は、部屋の模様替えのシミュレーションといった実用的な用途にも利用可能だ。例えばテレビや家具などのCGに対応した複数のマーカーを部屋に置いて、カメラで読み取る。ディスプレー上では部屋の中にテレビや家具のCGが実物大で表示され、マーカーを動かせばCGもそれに併せて移動する。
マーカー、スマートフォン、コンピューターグラフィックス、GPS
2012年2月7日付 (2/6)
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